卒業式や成人式で初めて着る人も多い袴。
着付けの仕方や着崩れの直し方を入念に調べる方は多くいらっしゃいますが、脱いだ後のことまでしっかりと考えているのでしょうか。
こちらでは袴の一般的な畳み方についてご紹介します。別の機会で着用することも有り得ますので、キレイに畳んで次回の使用時に備えておきましょう。
男袴の代表的な畳み方
まずは男袴の代表的な畳み方について説明します。卒業式や成人式、結婚式にお正月など着用する機会もあるので、着用した後にしっかりと畳めるように覚えておきましょう。
流れ①:袴の形を整え三等分する
まずは袴を持ち上げ腰の部分を両手でしっかりと押さえ、袴全体が整うように振ります。
袴がピシッと整いましたら、ヒダが付いている前身を上に床に置いて、ヒダを整えましょう。
ヒダが真っすぐになりましたら、袴全体が三等分されるように裾から折り返します。
残りの上から三分の一も折り返し、袴がコンパクトな状態になりましたら紐を結び始めましょう。
流れ②:長い前紐を袴の上で交差するように四つ折りにする
紐は左右で長い紐と短い紐がそれぞれ一本ずつ伸びていると思いますが、まずは長い紐を袴の上に載せるように持ち上げ、短く四つ折りにしてください。
左右の紐をそれぞれ四つ折りにし、袴の上で交差した状態を作りましょう。
流れ③:ここから要注意!短い紐の行き先
次に短い紐ですが、斜め上から下ろしてきて、長い紐が交差している中央部分を下からくぐらせて上に通します。
その紐を今度は上から斜め下に下ろし、
長い紐と短い紐をまとめるように下からくぐらせ上に通しましょう。
流れ④:折り返して長い紐に包み込む
また紐の先端が上を向くかと思いますが、折り返して巻きつけなかったほうの長い紐に重ねます。
重ねた紐を包み込むように折り返し、下に敷いたら終了です。
流れ⑤:反対側の短い紐でも流れは同じ
同じことをもう片方の短い紐でも行いますが、最後の長い紐に重ねる際には中央近くに輪ができていますので、そこを通して重ねましょう。
流れ⑥:結び目と全体の形を整えて完成!
最後に結び目と全体の形を整えて完成です。
男袴のほうが女袴よりも手順が多く、難しい傾向にありますので、よく手順を確認しながら畳んでください。
女袴の畳み方
次に女袴の畳み方をご説明いたします。男性の出世だたみを簡略化させたような畳み方になりますので、女性のほうが覚えやすく簡単に感じられるでしょう。
流れ①:途中までは男袴と完全に同じ
序盤の流れですが、男袴の流れと完全に同じです。袴を持ち上げて振り、全体を整えたら床に置き、ヒダを整えます。
そして三等分できるように裾を折り返し、
上からも折り返してコンパクトに。
左右の長いほうの紐を四つ折りにし交差させるように袴の上に置きます。
片方の短い紐を交差部分中央から下をくぐって上に通すまでが、男袴の畳み方と共通している点です。
流れ②:残りの短い紐はUターンさせる
そしてここから男袴と流れが異なりますが、もう片方の短い紐は交差している中央部分の上からかぶせ、そのまま下をくぐらせて Uターンさせます。
流れ③:長い紐に包ませる
そして上に通している紐を斜めに下ろし、長い紐の先端部分を包み込むように折り返します。 Uターンさせた短い紐も途中にある結び目を通し、同じように長い紐に包み込ませるように折り返しましょう。
流れ④:結び目を整えて完成!
そして全体の結び目と形を整えたら完成です。
男袴の畳み方と比較すると手順が少なくなっている分、女袴のほうが畳み慣れていない方でもキレイにできる傾向にあります。
初心者の方でも満足できる形に仕上がりやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。
袴への効果的なアイロンのかけ方
しっかり手順を踏んだ綺麗な畳み方をしておいても、そのまま長いこと使わないでいると袴に畳みジワが出来てしまうのは避けられません。
使おうと思った時にばっちりシワが付いていては格好がつきません。
そこで、万一袴に畳みジワが出来てしまった時のために、効果的な袴のアイロンがけ方法を覚えておきましょう。
袴へのアイロンがけに必要な道具
袴にアイロンがけする時に必要な道具は、以下になります。
アイロン(スチームアイロンが望ましい)
アイロン台(ある程度高さのあるものが望ましい)
霧吹き
バスタオルまたは万十(饅頭)
ハンカチ(当て布) アイロンは素材別に自動でスチーム量などを加減してくれるスチームアイロンが最も適していますが、スチームアイロンをお持ちでない場合はアイロンの他に霧吹きを用意する必要があります。
適宜霧吹きで生地に湿り気を与えながらアイロンするようにして下さい。但し、水を吹きかけ過ぎると生地がびしょびしょになってしまうので注意しましょう。
袴にアイロンをかける時には、制服のスカートにアイロンをかけるように、アイロン台に袴を被らせる形で行います。
袴は制服のスカートとは異なり丈が長いので、アイロン台にある程度高さがないと床にぐだぐだと裾が付くことになります。
折角アイロンをかけても床にぐだぐだと付いていたのではまた新たなシワが出来る原因となってしまうので、出来る限り高さのあるアイロン台を用いたいです。
万十やバスタオルは腰板にアイロンをかける時にあると便利ですが、無くても大丈夫です。但し、当て布だけは絶対に用意するようにしましょう。
当て布はアイロンによる袴生地傷みを防止し、テカリ防止にもなるので、袴に限らず着物にアイロンをかける時には必ず必要になってくるものです。
袴へのアイロンをかける手順
アイロンを温め、アイロンに必要なものの準備をします。この時袴はアイロン台に後ろ側を上に被せます。 適温(約160度)になったら、スチームを使いつつ、まず袴の前紐と後ろ紐に丁寧にアイロンをかけます。紐には特に当て布を使う必要はないのですが、気になる方は当て布をしてアイロンがけして下さい。 紐が終わったら、今アイロン台の上に出ている面(後ろ側)にアイロンをかけていきます。山折りのひだにも丁寧にアイロンをかけ、特に袴の下1/3(裾近辺)をより丁寧にアイロンがけします。腰付近はどうしても着た時に広がるので、シワはあまり気にしなくても大丈夫です。 後側が終わったら、前側を出してアイロンがけしていきますが、前側をアイロンがけする時には必ず当て布を使用します。 まず左側からアイロンをかけ、山折りになっているひだ3つを丁寧にアイロンがけします。この時も後側と同じで、袴の下1/3をより丁寧にアイロンがけします。 左側が終わったら、今度は右側をアイロンがけします。山折りのひだ2つと真ん中を丁寧にアイロンがけします。 再び後ろ側を出し、今度は腰板及びその付近にアイロンを掛けていきます。この時、腰板の下にバスタオルや万十を宛がうとアイロンがしやすくなるので、お持ちの方は使ってみて下さい。
アイロンをかける時の注意点
袴にアイロンをかける時に注意したいのは、アイロンの温度、当て布の使用、ひだの折り方になります。
まず、アイロンの温度ですが、温度が高すぎると袴の色が褪せたり、素材によっては繊維が溶けだしてしまったりすることがあります。
素材に応じた適温でアイロンがけすることが求められるということは念頭に入れておきましょう。因みに、綿素材のものであれば160度ぐらいがアイロンがけに適当な温度とされています。
当て布は、先にも述べたように、生地がアイロンで傷むのを防ぎ、テカリの防止にもなる優れものです。
逆に言うと、当て布を使わずに頻繁にアイロンがけしていると、高温で袴にアイロンがけするのと同じ現象が起き、すぐに袴がダメになってしまう可能性が高くなってしまいます。
テカリも酷くなるので、テカテカの制服スカートのような袴が出来上がってしまうので注意したいところです。
袴のアイロンがけで一番難しいところといったら、ひだのところでしょう。よくよく見て頂くと分かるのですが、袴のひだには山折りになっているところと谷折りになっているところがあります。
これをあまり気にせずにアイロンがけしてしまうと、全部山折りになってしまったり、全部谷折りになってしまったりするので注意して下さい。
袴をキレイに畳める人になろう!
男女別に袴の畳み方をご紹介いたしましたが、画像と文章を見ただけではまだイマイチ理解できない部分もあるのではないでしょうか。
そこでまずは、実際に畳んでみることをおすすめします。最初は試行錯誤を繰り返すことになりますが、何回か練習することで覚えられるはずです!
ぜひこちらの記事を参考に練習してみてください!