振袖を着る時には、洋装と同じ下着で良いのかどうか迷われる方は多いです。
そもそも「肌着」とはなにかなど、初めて振袖を着る時には振袖の下着として何を用意したら良いのか分からなくなることもあるでしょう。
そこで今回は、振袖を着る時に必要だとされる肌着についてご説明します。
あわせて、振袖を着るためだけにわざわざ和装下着を用意しなくてはならないのか、洋装のもので代用しても良いのかについて、最近の振袖事情も踏まえてご説明します。
振袖を着る時に肌着が必要な理由 肌着は、着物を着る時になくてはならないもので、洋装でいうところの下着に該当するものです。
振袖を着る時に肌着が必要とされる理由は大きく分けて 2つあります。
まず 1つ目は、着物のすぐ下に着る長襦袢を汚さないようにするためです。
正絹で作られた長襦袢に汗が染みこんでしまうとすぐシミになってしまうため、これを防ぐために肌着が必要だとされています。
. 長襦袢や着物などは、正絹で作られていることもあり、頻繁には洗うことが出来ません。
よほど汚れない限りは洗わず、汗で湿気ていると感じた場合は、洗わずに干して乾燥させます。
そのため、洋装の下着のように 1度着用したらすぐに洗濯に出して、何度でも洗って使える肌着(下着)が必要なのです。
2つ目の理由は、着物を美しく着るための補正をするのに肌着が必要になるからです。
振袖を含め、着物を着る際には、必ず補正を行いコケシ体型にします。
その補正は、肌着の上に施されるので、肌着がないとこの補正も決まらず、着崩れの原因になってしまうのです。
以上 2つの理由から、振袖に肌着は欠かせないものとなっています。
肌着(下着)の種類
肌襦袢
肌襦袢は、素肌の上に直接身に付ける、上半身タイプの和下着です。吸汗性に優れた麻やコットンで出来たものが多いです。
裾除け
裾除けは、パンツの上に身に付ける、下半身用の和下着です。
上半身タイプの肌襦袢とセットで一緒に用います。
ワンピースタイプの肌着
上記 2つの和下着(肌襦袢と裾除け)を 1つにしたものがワンピースタイプの肌着です。
洋装に近い仕様になっており、自分一人でも着ることが出来ることから近年人気の和装下着(肌着)です。
長襦袢
長襦袢は、肌着と裾除けの上に着る和装下着で、洋装でいうところのスリップに該当するものです。
長襦袢に付けられている半衿が着物の衿として機能するため、長襦袢は着物を着る上で最も大切なものと認識されています。
和装ブラジャー
洋装のブラジャーの代わりとして使われるのが和装ブラジャーです。
日本では西欧のドレスが入ってくるまで、胸のための下着を用いるということはありませんでした。
それは、西欧では胸を強調する服が好まれたことに対して、日本では胸は強調させず、逆にさらしで潰して無いように見せることが着物を美しく着こなす条件だったからです。
現代においても着物を着る時は、胸を出来るだけ平らにするため、洋装のような形を整えるための立体的なブラジャーではない和装用のブラジャーが好まれます。
ノンワイヤーブラ
洋装のブラジャーが立体的なのは、随所にワイヤーが入れられているからです。
しかし、着物を着る上でこのワイヤーは着物を美しく着る邪魔になるだけではなく、着崩れの原因にもなり得ます。
どうしてもブラジャーがないと居心地が悪いという方は、ノンワイヤーのブラジャーやスポーツタイプのノンワイヤーブラジャーを使用しています。
ノンワイヤーブラジャーであっても、パッドが立体的なものだったりボリュームのあるものだったりすると着物を着た時に美しくないので、パッドは予め抜いておいた方が良いでしょう。
ヒートテック
振袖を着るのは 1月の成人式ということもあり、寒さ対策としてヒートテックを着られる方が多いです。
振袖は、寒い冬でも寒さがしのげるよう袷で作られているので、ヒートテックは本来であれば必要ありません。
また、振袖は肌着の上に補正としてタオルを 4枚も 5枚も付け、長襦袢、着物、帯を付けるので、かなり温かくなります。
キャミソール
和装でも洋装でもブラジャーはしなくても良いが、肌に直接肌着というのが居心地悪いという方は、素肌の上にキャミソールを着て、その上から肌着を羽織ります。
キャミソールであれば、ワイヤーはもちろん入っていませんし、パッドもありませんので、着ていても問題ありません。
振袖を着る時のパンツはティーバックかボクサーがおすすめ
着物は裾すぼまりに着付けるのが美しいとされています。
特に振袖は裾がすぼまっている程美しいとされており、その美しいシルエットを作るために腰骨下の着物はかなりきつく着付けます。
そのため、着ている下着によってはパンツのラインが浮き彫りになってしまうことがあります。
心配な方は、予め着物に下着のラインが響かないような下着を選ぶ必要があり、そこから振袖を着る時はティーバックやボクサーがお勧めだと言われているのです。
振袖を着る時の肌着についての注意点
衿の形
振袖は、衣紋と呼ばれる衿の後ろがかなり抜けているのが特徴です。
ここから下着や肌襦袢が見えていると、美しさが損なわれることになります。
衣紋から肌襦袢や下着が見えないようにするためにも、後の襟刳りが大きく刳れているものを選ばなくてはいけません。
特にヒートテックは後ろの襟刳りが開いていないものが多いので注意しましょう。
襟刳りに関しては、首の後ろのぐりぐりから 5cm以上開いているものが望ましいので、目安にしてみて下さい。
インナーの長さ
ヒートテックやレギンスの長さが長いと、手を動かしたときや足を動かしたときにインナーのヒートテックが丸見えになってしまうので注意しましょう。
いずれも七分丈のものを選んでおくと安心です。
暑さ
着物を着た時の暑さというのを経験せずに、洋装の時のような防寒対策をして振袖を着ると、暑くて気分が悪くなってしまうことがあります。
ホッカイロなどを肌着に付けたまま振袖を着てしまうと、暑くてもホッカイロを外すことは難しく、体調が悪くなる可能性が高いです。
同様に、ヒートテックを着たまま振袖を着付けてもらったために暑くて気分が悪くなってしまったという人もいます。
振袖を着て寒いと感じる場合は、和装コートやショール、手袋などで調整可能なので、脱げないもので防寒対策をするのは極力避けるようにしましょう。
ボディーラインが強調されるものを避ける
普段の生活でブラジャーは必須アイテムですが、和装の時には極力付けるのは避けましょう。
その理由としては 3つあります。
1つ目の理由は着崩れの原因になるからです。
ブラジャーがあることで着物の衿がしっかり決まらず、胸のボリュームでどんどん衿合わせが開いてきてしまい、結果として着崩れが起きてしまいます。
2つ目の理由は、着物を着る上で寸胴が美しいとされているからです。
ボディーラインが強調されないコケシ体型が着物姿で最も美しいとされる姿なので、振袖を着る時は胸を強調するブラジャーは避けた方が無難でしょう。
3つ目の理由は、ブラジャーのワイヤーが肌に食い込む可能性があるからです。
着物では、胸紐を長襦袢と着物の時にそれぞれ掛けて締めるのですが、いずれもアンダーバストの位置になります。
アンダーバストといえば、ワイヤー入りブラジャーの丁度ワイヤー上であり、そこに 2本もの紐が掛けられると自ずと肌にブラジャーのワイヤーが食い込んできます。
振袖を着る時には、極力苦しくないようワイヤー入りのブラジャーは避けた方が良いでしょう。
まとめ いかがでしたでしょうか。
振袖の時に肌着が必要な理由は、「汗取りのため」、「着崩れ防止のため」でした。
振袖を着るにあたって、和装用のブラジャーというのは必ずしも必要なものではありませんが、肌襦袢、裾除け、長襦袢は必須アイテムなので、振袖を着付けてもらう時には絶対に忘れないようにしましょう。